SNSで炎上したらどうする?投稿削除・謝罪で注意したいこと

炎上は、投稿を消せば終わるものではありません。消した後にどう説明し、どう謝り、どう行動を変えるかまで、すべてが見られています。この記事では、学習系YouTubeチャンネルの福島大学をめぐる炎上を題材に、なぜ「消して謝った」のに批判が止まらなかったのか、そしてSNSでやらかしたときにどう謝ればいいのかを解説します。

「炎上したら、とりあえず消せばいいのでは」
「そんなつもりじゃなかったと説明すれば分かってもらえるはず」
「謝ったのに、なぜまだ叩かれるのか」
学校でSNSの講演をしていると、「炎上したらどうすればいいですか」という質問に対して、「消せばいいのでしょう」という感覚を持っている人が正直かなり多いと感じます。

この記事では、実際に起きた炎上の経緯を事実ベースで整理し、何が火に油を注いだのかを3つに分けて考えたうえで、謝罪の順番、謝る相手、消す理由、謝った後の態度という4つの具体的な作法をお伝えします。YouTuberだけの話ではなく、クラスのグループLINEでの失言や、会社のSNSでの余計な一言にも、そのまま当てはまる構造です。

今回の炎上で最も火を大きくしたのは、動画の内容そのものというより、「揶揄する意図は一切ない」という言葉を先に出してしまった謝り方でした。言葉は、発した側の意図ではなく、受け取った側に届いたものがすべてだからです。

私は全国の学校・企業でSNS・デジタルリテラシーの講演を行っている立場から、このテーマを「誰かを責める話」ではなく、いつどこで足をすくわれるか分からない私たち全員の話として考えていきます。


目次

何が起きたのか。福島大学の動画をめぐる炎上の経緯

まず、事実関係だけを淡々と並べます。

8月28日、学歴をテーマにしたYouTubeチャンネルが、福島大学のキャンパスで学生にインタビューする動画を公開しました。国公立で最下位のような言い方で大学を紹介し、入試や就職の話を学生に聞く、いつもの形式の動画です。このチャンネルは以前から「不快だ」という声も多い一方で、登録者数が非常に多く、エンタメとして楽しまれているチャンネルでもあります。

その動画の中で、学生が福島大学ならではの特色として、放射能や原子力災害の研究を挙げました。それに対して出演者が「福島大には触らせたくない」と発言したのです。この部分がXに切り抜かれ、大きく拡散されました。

これを受けて、福島大学の教授が「なぜうちの大学がこんな言われ方をしなければならないのか」と声明を出しました。大学側が声明を出すというのは、それ自体が大きな出来事です。批判はさらに殺到し、動画は一度非公開になりました。

ところが8月31日、「震災や原発事故の被害、福島大学の研究や学びを揶揄する意図は一切ない」というテロップを付けて、動画は再公開されました。これがさらなる炎上を招きます。

9月1日、動画は再び非公開となり、出演者がXで謝罪しました。「言葉足らずな表現で意図と異なる形で伝わった」「福島大学の学生の志に対する配慮が決定的に不足していた」として、動画を削除したのです。同じ日、福島大学からは学長名で声明が出ました。教育研究に真摯に取り組んでいる学生や教職員の尊厳が傷つけられることはあってはならない、という内容です。大学側は撮影の申請がなかったことにも触れ、学生に対してはSNSで反論することを控えるよう呼びかけました。

これが一連の流れです。

このチャンネルの是非について、私が思うこと

チャンネルの是非そのものについて、私の立場からどちらか一方に立って論じることは避けたいと思います。ただ、少しだけ触れておきます。

このチャンネルを見ることで「ああやって馬鹿にされたくないから勉強を頑張る」と、勉強の動機にしている学生もいるようです。大学のことをいろいろ知ることができ、大学選びの判断材料として使われている面もあるでしょう。その意味では、一定の意義があるのかもしれません。

一方で、学歴を過剰に気にするようになってしまった若者が非常に多いことも事実です。私は一時期、TikTokで受験生向けの情報発信を毎日のようにライブ配信で行っていましたが、学歴に対してコンプレックスを抱えている人が本当に多い。話を聞くと、このチャンネルの名前がよく出てきます。自己肯定感が下がってしまっている学生もかなりいます。

社会的な意義がある一方で、傷ついている人が相当な数いる。これは無視できない事実だと思っています。

なぜ「消して謝った」のに火が大きくなったのか。3つの理由

謝って、消した。それでも批判が続いた。なぜこうなってしまったのか、私は3つの理由があると考えています。

1. 最初の対応が「いつも通り」だった

本人たちの感覚では、おそらく「誤解されたのだから、意図を説明すれば分かってくれるだろう」というものだったと思います。このチャンネルはもともと、偏差値が高くない大学の学生をやや下に見るようなパフォーマンスをエンタメとして成立させてきた番組です。しょっちゅう炎上していたからこそ、「またいつも通りかな」と、テロップを入れただけで再公開したのでしょう。

しかし見ている側からすれば、「消せよ」「説明を付ければ出していいと思っているのか」と受け取られます。しかも「揶揄する意図はない」というテロップを付けること自体が、「これはネタでした」と自分で認めているようにも見えてしまいます。

2. 「意図はなかった」が先に来ていた

謝罪文の中に「揶揄する意図は一切ない」「言葉足らずで意図と異なる形で伝わった」という言葉がありました。嘘ではないのだと思います。本当にそう思っているのかもしれません。

でも、傷ついた側が欲しい言葉は「意図はなかった」ではありません。「意図はなかった」が先に来ると、「あなたの受け取り方が間違っていた」「自分たちは悪くない」と言っているように聞こえてしまうのです。

私は地上波のテレビに出演させていただいたときにも同じ話をしましたが、謝罪の仕方を間違えると、もう一度炎上が来ます。言葉は、発した側の意図ではなく、受け取った側に届いたものがすべてです。特にSNSでは、「そんなつもりじゃなかった」と言っても、相手にとって言い訳に聞こえた時点でアウトなのです。

3. 福島という場所の重さを、笑いの延長で扱ってしまった

これが最大の失敗だったと思います。学歴を軽くいじるスタイルは、それを面白いと思って見に来る人がいて、登録者が多いから成立しています。しかし、震災や原発事故というセンシティブな経験をした場所で、放射能の研究を選んだ学生に対して「触らせたくない」と言うのは、学歴いじりの範疇を完全に超えています。

いつものノリが通用しない場所で、いつも通りにやってしまった。ここがポイントです。炎上は、悪い人が意図的に起こすものというより、「いつもの自分が違う文脈に置かれたとき」にも起こるのです。

「消せば終わる」が通用しない理由

ここで、中高生や若い人に向けて話したいことがあります。

今回の件を見てください。動画は消えました。しかし、保存していた人たちが「最初にテロップなしで公開されていた動画はこれです」と、Xで再投稿し、拡散しています。ニュース記事も残っています。大学の声明も残っています。あのチャンネルがこういう事案を起こしたという記録は、消えません。

投稿は消せても、消したこと自体がそのまま記録される。これがSNSです。

消すことはスタートであって、ゴールではありません。消した後にどう説明するか、どう謝るか、どう行動を変えるか。ここまで全部が評価として残ります。言い換えると、炎上したとき、人は「失敗したこと」ではなく「失敗した後の態度」で判断されるのです。

これは逆に言えば、チャンスでもあります。失敗しない人間はいません。私もいろいろ失敗してきました。失敗した事実は変えられませんが、失敗の後の態度は自分でコントロールできます。誠実に対応すれば、見る目は変わります。もちろん、やったことの罪が消えるわけではありませんが。

SNSでやらかしたときの4つの謝り方

では、具体的にどう謝ればいいのか。私の考えを4つお伝えします。

1. 意図の前に、まず結果を認める

「そんなつもりじゃなかった」は駄目です。どんな発言で、どんな人を傷つけてしまったのかを、自分の言葉で言って、きちんと謝ってください。意図の説明がどうしても必要なら、最後に短く。先に出すと言い訳にしか聞こえません。

2. 誰に謝るのかをはっきりさせる

「不快に思われた方はごめんなさい」と書く人がよくいますが、これは誰にも謝っていません。今回なら、真っ先に謝るべき相手は福島大学の学生と教職員、そして福島の人たちです。そのうえで、見て不快に思った人も対象に入るでしょう。相手の顔が見える謝罪でなければ届きません。

3. 消す前に、消す理由を言う

黙って消すと「逃げた」と思われます。「こういう理由で消します」という一言があるだけで、同じ削除でも意味が変わります。

4. 謝った後は、反論せず行動で示す

謝った後、「でも」と言い返したくなる気持ちは分かります。言い負かしたくなります。しかしそこはぐっとこらえてください。謝ったら、行動で示す時間に入ります。言葉で争ってはいけません。

これはYouTuberだけの話ではなく、皆さんも同じです。間違えることは誰にでもあります。その後が大事なのです。

保護者や先生に伝えたい「反論しない」という守り方

保護者の方や先生に向けても、ひとつ伝えておきたいことがあります。

今回、福島大学は学生に対して「SNSで反論するのは控えて」と呼びかけました。私はこれを、とても大切な声明だと思っています。

傷つけられた側が反論すると、今度はその反論が切り抜かれ、そこが叩かれることがあります。悪いことをしていないのに、正しいことを言っているのに、また燃える。SNSの怖さは、「正しいかどうか」と「燃えるかどうか」がまったく別の軸で評価されてしまうことです。正しくても、燃えるときは燃えます。

だからこそ、子どもが何か言われて怒っているとき、「言い返せ」ではなく「悔しくても、今は引き下がろう」と言える大人が近くにいてほしいと思います。それによって、その子が受ける被害の大きさが変わります。守るということは、戦って勝つことではありません。ここをどうか覚えておいてください。

まとめ:人は失敗ではなく、失敗した後の態度で判断される

炎上は、削除では終わりません。消したこと自体がまず記録されます。

火に油を注いだのは、「意図はなかった」という言葉を先に言ってしまったことでした。言葉は届いたものがすべてで、受け取った側の解釈がすべてになります。

謝るときは、どんな意図があったか、どういう背景だったかではなく、まず結果を認める。誰に謝るのかを明確にする。消す理由をきちんと述べる。そして謝った後は、反論しない。

人は失敗ではなく、失敗した後の態度で判断されます。だからこそ、そこは自分で選び、コントロールして、変わっていけばいいのです。

私は、学歴をいじる動画そのものを全否定したいわけではありません。それをきっかけに頑張れた学生がいることも事実だからです。ただ、SNSで発信するということは、いつものノリが違う文脈に置かれることがある、その可能性をいつでも抱えているということです。発信している人も、これから発信したい人も、全員が自分ごととして考えてほしいと思います。私自身も考え続けていきます。

何が悪い、何が正しい、絶対にこうしろ、という唯一の答えを出すつもりはありません。ただ、皆さんが考えるきっかけになれば嬉しいです。

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